蜷川実花にとって岐阜県で初めての展示となる今回。
廃工場というユニークな舞台が、蜷川実花とクリエティブチーム・EiMによる光と色彩の作品で生まれ変わります。
特に注目したいのが、1200本以上のクリスタルガーランドを用いた展示。廃工場に差し込む自然光と緻密に計算された人工光が融合し、幻想的な輝きに包まれます。
他にも、大型スクリーンに投影される日本初公開の「floral resonance」、廃墟と対比をなす鮮やかな色彩の写真展示、透過された作品の美しさが際立つガラスパネルの新作展示など。
廃工場がアーティストの手によって新たな息吹を吹き込まれ、この場所、この時間でしか感じられない光の体験をお楽しみいただけます。
Outline 展示概要
Highlights 見どころ解説
映像作品 Floral Resonance
この作品は、人間と自然の繊細な関係性を探求し、特に人によって育まれ、愛される花々を通じて、その関係性の美しさと儚さを描くアートインスタレーションです。このプロジェクトは花々の写真を用いた視覚的表現と、それを際立たせるエフェクトの組み合わせにより、人々をとりまく世界の中にある繊細な美しさと、内面の広がる感情の奥深さが共鳴する体験にいざないます。この作品は日常の中で見落とされがちな自然のディテールへの敬意と、私たちの感情に対する新たな理解をもたらすことを目指しています。
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1. 自然と人の共鳴
「Floral Resonance」は、花々が人間の手によってどのように育まれ、形作られてきたかを探求します。育てられた花々は、自然界の一部としてだけでなく、人間の感情、文化、そして美学的価値観と密接に結びついています。この展示は、この相互作用の中で生まれる美しさと感情の豊かさを称えます。
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2. 感情のパレット
各花々の写真とエフェクトは、特定の感情や状態を象徴しています。強い光から現れる花は希望や新たな始まりを、空を舞う花は自由や解放感を、強風に翻弄される花びらは逆境や変化への適応を、中心から開く花は内面からの成長や開花を、そして水面から現れる花は内省や平穏を表現します。
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3. 一回性の体験
このインスタレーションは、花々の写真がランダムなエフェクトと共に登場することで、一度きりの独特な体験を創出します。この一回性は、自然界の儚さと、人間の感情の移ろいを反映しています。鑑賞者は瞬間瞬間に没入することで、感情的なつながりを感じ取ることができます。
Whispers of Light,
Dreams of Color
この作品は、廃工場の天井から吊り下げられた1200本以上のクリスタルガーランドによって構成されたものです。光と色彩の幻想的な世界は、多様な色で構成されるクリスタル、光を繊細に散らすサンキャッチャー、蝶や星、ハート、目玉などのビジューをはじめ、様々なイミテーションの宝石により構成されます。それらは、まるで子供の頃、子ども達が大切にしていた宝物の箱に収められた、輝き溢れるガラクタのようです。他者にとっては取るに足らないものかもしれませんが、所有者にとっては価値を持つ「宝物」として輝いています。この作品は、そうした個々の記憶と感情を具現化し、光と色の共鳴を通じて多様な表情を見せます。
廃工場の中へ差し込む自然光と、照明が生み出す人工光が混じり合い、遠くからでも色とりどりの光が絶え間なく輝きを放つ様は、まるで空間全体が生きているかのようです。作品は鑑賞者が歩いて通り抜けられるような空間設計となっており、その中心には、見上げたときに色彩がオーロラのように鑑賞者を包み込む空間があります。ここではクリスタルの色彩が混ざり合い、天井から降り注ぐ光が揺れ動き、訪れる者に寄り添う幻想的な体験が広がります。
その一方でクリスタルに近づくことで、より詳細なモチーフが現れ、その一つ一つが異なる記憶と物語を宿しています。本作品に使用されているモチーフは、世界各地の工場で作られた手工芸品を収集したものです。その背景には地域で女性が担ってきた手仕事など、様々なストーリーがあります。この多様なモチーフは、光と色彩を通して、私たちの社会に存在する静かなる声を映し出しているのです。
光と色のダイナミズムは、時間とともに刻々と変化します。例えば雲に隠れた太陽が再び姿を現す瞬間、光の儚さと空間の流動性が際立ちます。鑑賞者は自然と作品、そして廃工場という空間の中で、光と色が織り成す儚ない瞬間に没入し、自らの存在や時間の流れについて深く思索するきっかけを得ることでしょう。本作品は、自然と人間の存在が織りなす儚い美を探求し、変わりゆく世界の中で私たちが抱く希望や記憶の断片を捉えています。光と色彩が溶け合う瞬間、その瞬間に存在するすべてが共鳴し、鑑賞者に多様な可能性と絶え間ない変化の中で私たちが立ち止まり、考えるべきことをそっと問いかけます。
Artists アーティスト
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写真家・映画監督
蜷川実花
にながわみか
写真家、映画監督。写真を中心に、映画、映像、空間インスタレーションも多く手掛ける。クリエイティブチーム「EiM」の一員としても活動。
木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。
『ヘルタースケルター』(2012)はじめ長編映画を5作、Netflix『FOLLOWERS』を監督。最新写真集に『花、瞬く光』。
個展「蜷川実花展 : Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」(TOKYO NODE 2023年12月-2024年2月)にて25万人を動員。 -
EiM
エイム
[Eternity in a Moment]
写真家・映画監督の蜷川実花と、データサイエンティストの宮⽥裕章、セットデザイナーのENZO、クリエイティブディレクターの桑名功らで結成されたクリエイティブチーム。プロジェクトごとに多様なチームを編成しながら活動する。
主な作品発表に、「「蜷川実花展 with EiM:儚くも煌めく境界」(弘前れんが倉庫美術館2024年)など。
Ticket チケット情報
Hida Co-Innovation Festival
開館時間 10:00-17:00(最終入場 16:30)
株式会社東洋工場跡地[岐阜県飛騨市古川町若宮2丁目1-1]
入場料 1,000円 [WEB予約/当日購入(現金決済のみ)]
主催:飛騨古川駅東開発株式会社
共催:一般社団法人CoIU設立基金
[お問い合わせ]
飛騨古川駅東開発株式会社 hidacoif.2024@gmail.com
※小学生以下は入場無料。
※当日販売(現金決済のみ)も実施いたしますが、
できるだけ事前予約されることをお勧めいたします。
2026年春に、Co-Innovation University[仮称・略称CoIU(コーアイユー)]という大学が飛騨古川で開学を目指し、2027年には、飛驒古川駅の東口に、地域とつながる共創拠点の開業を目指して準備を進めています。開学、開業に向けて共創の場を創っていくことで飛騨古川の豊かな未来を、参加者のみなさまと一緒に創り上げていきたいと考えております。
ACCESS アクセス
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- 【列車で】
- 富山から 約75分/
岐阜から 約150分/
名古屋から 約160分/
大阪から 約210分
/東京から 約260分
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- 【お車で】
- 富山から 約90分/
岐阜から 約120分/
名古屋から 約130分/
大阪から 約240分
/東京から 約280分